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こんにちは。教えてください。
ホルモンと乳癌についてお尋ねいたします。
①乳癌治療で抗エストロゲン剤、ときには黄体ホルモン剤が使われとのことですが、なぜ、エストロゲンのみのホルモン補充療法では乳癌リスクは上昇せず、エストロゲンとプロゲステロンを併用したホルモン補充療法では乳癌リスクが高くなるのでしょうか?
患者さんのための乳癌診療ガイドラインに以下のような記述がありますが、よくわかりません。
『ホルモン補充療法の中でも,エストロゲン(卵胞(らんぽう)ホルモン)とプロゲスチン(プロゲステロンなどの黄体(おうたい)ホルモン)を併用する方法では,乳がん発症リスクは,わずかながら高くなることが確実です。エストロゲンだけを補充する方法では,乳がん発症リスクは少なくとも高くはならないことが示されています。』
②不妊治療でデュファストン(黄体ホルモン)のみを単独使用した場合、乳癌リスクは上昇しますか?
③妊娠は乳癌リスクを低減させるのでしょうか?リスクを高めるのでしょうか?妊娠により女性ホルモンが高くなるのに、なぜ乳癌リスクは上昇しないのでしょうか?
患者さんのための乳癌診療ガイドラインに以下の記述があります。
『出産経験のない女性は,出産経験のある女性と比較してホルモン受容体陽性の乳がん発症リスクが高いことは確実です。
初産年齢が高い女性では乳がん発症リスクが高く,初産年齢が低いほど乳がん発症リスクが低いこともほぼ確実です。』
乳癌診療ガイドラインには以下の記述があります。
『妊娠期乳癌については積極的治療介入によって妊娠と関連のない乳癌と同等もしくはそれ以上の治療成績が修められており,予後不良とはいえないと判断した。これらの理由は依然として諸説紛々としており,今後の研究成果が待たれる。』
④授乳は乳癌リスクを低減させるのでしょうか?リスクを高めるのでしょうか?
患者さんのための乳癌診療ガイドラインに以下の記述があります。
『授乳経験のない人は,授乳経験がある人に比較して乳がん発症リスクが高いことは確実です。授乳の期間が長いほど乳がん発症リスクが低くなることも確実です。』
乳癌診療ガイドラインには以下の記述があります。
『授乳期乳癌の予後が悪いことはほぼ確実と考えられた。』
⑤上記③・④は、妊娠・授乳は乳癌リスクを低減させるが、乳癌罹患者にとっては妊娠・授乳はリスクを上昇させるということでしょうか?意味がよくわかりません。
役に立った! 0かるびの様、ご質問ありがとうございます。
①乳癌治療で抗エストロゲン剤、ときには黄体ホルモン剤が使われとのことですが、なぜ、エストロゲンのみのホルモン補充療法では乳癌リスクは上昇せず、エストロゲンとプロゲステロンを併用したホルモン補充療法では乳癌リスクが高くなるのでしょうか?
⇒「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2014年版」12ページを参考
子宮切除を受けた女性を対象とした最近の大規模な調査においてはこの理由は分かっておりません。
ホルモン補充療法を行う場合は、そのメリットとデメリットをよく理解し、婦人科医師とよくご相談して決められて下さい。
②不妊治療でデュファストン(黄体ホルモン)のみを単独使用した場合、乳癌リスクは上昇しますか?
⇒「乳癌診療ガイドライン②疫学・診断編2018年版」83ページを参考
不妊治療における排卵誘発は乳癌発症リスクを増加させないと考えられていますが、日本における報告は検索されていません。
③妊娠は乳癌リスクを低減させるのでしょうか?リスクを高めるのでしょうか?妊娠により女性ホルモンが高くなるのに、なぜ乳癌リスクは上昇しないのでしょうか?
⇒「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2014年版」13ページを参考
日本においては出産経験のない人の乳癌発症リスクは経験のある人のおよそ2.2倍とされています。
④授乳は乳癌リスクを低減させるのでしょうか?リスクを高めるのでしょうか?
⇒国立研究開発法人 国立がんセンター社会と健康研究センター 防研究グループの「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」の「授乳と乳癌リスク」を参考
授乳による全身のエストロゲンと黄体ホルモンのレベルの低下、授乳による上皮細胞の分化促進、排卵再開の延長等が理由として上げられます。
⑤上記③・④は、妊娠・授乳は乳癌リスクを低減させるが、乳癌罹患者にとっては妊娠・授乳はリスクを上昇させるということでしょうか?意味がよくわかりません。
⇒乳がん罹患者が適切な術後補助療法を行い病状が安定している状況であれば、妊娠出産授乳は再発リスクを上げることになりません。
なお、「乳癌診療ガイドライン②疫学・診断編2018年版」131ページを参考
妊娠期・授乳期乳癌(妊娠関連乳癌)は進行した状態で診断されることが多く、以前から予後不良と考えられてきました。
現在のガイドライン上では、妊娠期の乳癌は予後不良とは結論付けられないとされています。
また、授乳期の乳癌の予後が不良であることはほぼ確実であるとされています。
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